2012年、いい出逢いがあった、いい年だった。
7月。
その日、
「目が痛くてコンタクト着けられなくて」
と、今どき、女の子がかけない、銀縁のメガネをしていた。
フレームが耳にきちんと掛かっていないし、遠くを見るときにレンズの位置をずらしてる。
長年、フレームも度数も調整もしていないのだろう。でも、
「家用だから」
と気に掛ける様子もない。
メガネを外すと、何も見えない。
電気のスイッチを探すのも、時計を見るのも、私の顔を見るのも、近かった。
かなり、近視だ。
どきどきした。
そのあどけない笑顔に。でも、
「きょう、この辺でお祭りあるんだって」
「行ったことないんだけど、どんな感じだろうね」
そう言った顔は、何かさびしげだった。
後で思い返せば、何か、心配事があって、気晴らしがしたかったのかもしれない。
その場で気付けなかった自分に、後悔。
宇都宮に行く機会があれば、また、逢いたい。
8月。
少しウェーブが掛かった、長めの髪に、破れたジーンズ。
かすかに石けんの香り。
ふいに手が触れただけで、ビクッとして。緊張してたのかな。
話しをしてると、とっても落ち着けて、ゆったりと時間を過ぎていく感覚。
一緒にいるだけで、心地いい。
一緒に住んでいるネコがうらやましい。
土浦に行く機会があれば、また、逢いたい。
9月。
こんなにワクワクしたのは、何年、いや、もっと長い年月、なかった。
親しげに、下から覗き込むようにして、じっと、目を見てのお話し。
こちらの話を真剣に聞いて、一生懸命、考えて思ってくれる、優しさ。
妙に親近感を覚える、話題の数々。
こんなにワクワク感をこの年で感じらるなんて。しあわせだ。
遠く離れた九州で、こんな出逢いがあるとは。
11月。
九州の思い出が忘れられず、再会した。
すごく、感激してくれた。うれしかった。
9月のときと、同じだ。何も変わっていない。
思いは、強くなるばかりだ。
もっと長い時間、お話したい、と言ってくれた。
でも、キミの用事が終わらず、それっきり逢えず、九州を後にした。
メアドを教えたら、メールをくれた。
でも、こちらからメールしても、なかなか返信がない。
忘れた頃に、ふいにメールが来るので、逆に、うれしさが倍増する。
わけあって、つらい思いをしたみたいで、励ましのメールを送り続けた。
役に立ったかどうかは、わからない。
晦日が、彼女にとっての一区切り。
大晦日に最後のメールを送った。
その後、どうしているだろう。
人のウワサも75日。3月下旬か。
まだ、メールは届くだろうか。