2017/12/20

リニア新幹線工事受注にかかわる摘発への違和感☆

JR東海が発注したリニア新幹線(JR東海は「中央新幹線」と表記しているので以下中央新幹線と記載します)関連工事の受注において不正があった容疑で、東京地検特捜部と公正取引委員会による家宅捜索が行われた、と報道各社が報じました。

受注において、受注各社間で何らかの話し合いや会合があったことは事実のようです。

ただ、このことが、即、不正なのか?という点には腑に落ちませんでした。

確かに、公共工事や役所が発注する業務について受注(入札)各社が事前に話し合いを持てば罪に問われます。

しかし、今回の件は民間会社が発注した案件です。鉄道が「公共」交通機関であることは事実ですが、国や役所が直接、工事と運営に携わるわけではないのです。

また、カルテルの容疑があるとのことですが、すでに日本国内では巨大建設企業の寡占化が進んでいます。この状況で、中央新幹線のような巨大プロジェクトにおいて、各総合建設企業が利益を度外視して工事案件に入札することはあり得ません。

重箱の隅をつつき、事件をでっちあげようとしていると思えてなりません。最近も、厚生省職員をでっちあげの罪を仕立てあげ、証拠をねつ造してまで陥れたことがあり、ふた昔前の地検特捜と違い、手柄優先主義に陥っていて信用できません。

摘発側の言い分は、金額が高くなって損をするのは国民だから、という論法のようですが、目先の金額や事象だけに気を取られ、事業費全体の高騰や国家的プロジェクトのとん挫をはらむ危険があるとは考えなかったんでしょうか。確かに摘発担当者目線で見れば、法に基づいて粛々と公務をまっとうするので、致し方ないのかもしれません。しかし、プロジェクトの公共性を考えれば、俯瞰的立場の上層部の人たちが関係部署と連携し国家的見地から調整してしかるべきではなかったのでしょうか。 むしろ、役所間の縄張り意識や縦割り組織の弊害こそ糾弾されるべきであり、また、大局的見地に立てる見識が高い官僚も政治家もいないことが問題、と考えます。

もちろん、その前提は、受注側企業に、社会的使命を果たす、不正な利益は排除する、という性善説があることが前提です...あると信じたい。


■受注側の論理

今回の案件では、総事業費が約6兆円と見込まれています。

また、路線のほとんどがトンネル、大深度地下施設、といった技術的難易度が相当高い工事ばかりです。


もし、経済の論理だけに基づいて民間会社である総合建設企業に入札を、と言ったらどうなると思いますか?

民間企業である以上、利益が出る工事「だけ」 に入札します。→困難や未知の分野を含む工事には入札しない=工事ができない

あるいは、利益が見込める見積金額で入札します。→結果、金額は高くなる。

でも、実際には、赤字になる案件も受注しているのは、社会的使命を果たしたいからじゃないでしょうか。難工事の末、新たな工法や技術が開発できる可能性もあります。しかし、民間企業である以上、利益を確保する必要はあり、今後の取引を継続する中で、他の案件で少しづつ利益を確保して赤字を補填、ということは不法でも不正でもないはずです。

つまり、単一案件だけでの損得では成り立たない/受注する根拠がないが受注する、という矛盾で成り立っているのが入札ではないでしょうか。

一方、目先の収入が欲しいので、技術がないのに入札する企業も出てくるでしょう。→その場合、工期遅延と納品物の品質低下は必然。

そうなって困るのは、発注側であり、その後ろにいる利用者=国民です。

これからの証拠調べの中で、実際の受注金額が正当な範囲であり、不当な利益追求ではない、ということが証明されてほしいです。

■報道各社の姿勢
あと、昨今、報道機関が重要視することに「透明性」があります。

すべてを透明にして、社会生活や人間としての生き方が成り立つのでしょうか?


もちろん、不法行為を行っていた場合、法律の権限に基づいて開示を求められた場合、提出することは必要です。

しかし、報道機関が言っている透明性は、「何でもかんでも報道機関が求めたら開示しろ!」という脅しに聞こえるのは私だけでしょうか。

報道各社には、表面的な質問を記者会見ですることが追求ではなく、取材や勉強に基づく緻密な質問や追求であってほしいです。

もうひとつ、今回の案件で受注金額に不正がなく、地検特捜の勇み足だったことが判ったら、「捜査の透明性」を地検特捜に対して徹底的に追及することを、報道機関に望みます。


■参考-総事業費の誤り
報道各社は今回の案件の総事業費を9兆円と報じていますが、本案件に関していえば、6兆円が正しい金額です。

現時点で、JR東海が具体的に工期/計画、工事に着手しているのは、品川-名古屋間だけです。この件にかかわる総事業費は、5兆5千億円と発表されています。


その先、名古屋から大阪の間は、基本計画はありますが、具体的な工事計画は未発表です。この分を含めると、9兆円になるだろうという見通しとなっています。

一部の報道機関が、事態はより深刻であるということを印象付けるために、脚色してしまっているんでしょうね。6より、10に近い方が(一桁より二けたに近い方が)より大きな数字と受け取ってしまい「すごい金額!」と感じやすいですから。

以上です☆