最近、ちらほら耳にするようになったふるさと納税制度。
2000円の負担で、寄付先の市町村から、2000円以上のお礼の品が届く、と評判です。
しかし、その仕組み、わかりにくくないですか?
例えば、よくあるのは、
「1万円ふるさと納税したら、お米10kg届いた。でも、負担額は2千円だけ。」
という感じの記事。
でも...
一万円払って、お米10kgって、高くね?
負担額は2千円って、残りの8千円は戻ってくるってこと?
って疑問に思いませんか?
ちょこっと調べてみたので、その備忘録。
ここの内容は、普通のサラリーマンを想定していますので、あしからず。
また、話を簡単にするため、所得税との相殺に関しては省略していますので、ご了承ください。
■疑問 - ふるさと納税って何がトクなの?
結論から言うと、税金面でのトクは何もない(=節税にはならない)です^^;
ふるさと納税とは、
「居住地に納めている住民税の一部を、居住地以外の自治体へ納税できる」
という制度です。
なので、支払う住民税の総額は変わらないんですね。
それどころか、年間2千円は自己負担、つまり自腹を切るという形になり、損をするんです。
※住民税の総額と年間2千円は、後ほど説明します(^^)
■疑問 - じゃ、ふるさと納税はトクって言ってるのはウソ?
トク、と言われるのは、納税額が減ることではなく、納税に対するお礼の品を送ってくれることなんです。
支払う住民税の総額は変わらないのに2千円余計に払う=損
お礼の品がもらえる=トク
つまり、2千円を超えるお礼の品がもらえれば、2千円を超えた部分が「トク」 ということなんです。
繰り返しますが、納める住民税の総額は変わらないので、節税にはなりません。
■疑問 - ふるさと納税した分はいつ戻ってくるの?
ふるさと納税した年の翌年の住民税から、ふるさと納税した納税額が差し引かれるんです。
一般的に、住民税額は6月に決定通知されるので、住民税から差し引かれる額が正式に確認できるのは、このタイミングまで待つ、というよりこのタイミングでしか実感できないんですね。
また、サラリーマンの場合、住民税は月割りで給与天引きされるので、差し引きが完了するのは、さらに翌年の5月です。
例えば、2016年3月にふるさと納税した場合、そのふるさと納税額の相殺が完了するのは、2年後の2018年5月です。
2016年3月ふるさと納税する。
2017年6月ふるさと納税した分を差し引かれた住民税額が確定する。
2018年5月ふるさと納税した分が差し引かれた住民税の相殺(戻し)が完了する。
つまり、なんと2年間、ふるさと納税した分の相殺処理が淡々と続く、という結構気長な仕組みなんです。
別の言い方をすれば、翌年の住民税を「先払いする」という感じかな。
前の方で、住民税の総額は変わらない、と表現したのは、このことをさします。
また、2千円が自腹と書いたのは、住民税額を計算する際、ふるさと納税した分の内、2千円は相殺対象外(=戻さない)ことになっているため。
■疑問 - 所得税は関係ないの?
ふるさと納税した分は、所得税から控除できるので、還付されます。
控除ですから、ふるさと納税した分が丸々戻ってくるわけではなく、ふるさと納税した分の1割程度が戻ってきます。(例:3万円ふるさと納税した場合、所得税率10%だと約3千円還付)
で、いまさら、実は、なんですが...
ふるさと納税により所得税から還付される金額は、住民税の控除から差し引かれるんですね。
なので、3万円ふるさと納税した場合を例として整理すると、以下となります。
28000円=30000円-2000円:控除全体額=ふるさと納税額-一律2000円
2800円=28000円x10%:所得税の還付金=(ふるさと納税額-一律2000円)x税率10%
26200円=28000円-2800円:住民税の控除額=控除全体額-所得税の還付金
届いた住民税通知を見て
「あれ、控除額が28000円になってないんだけど?」
というサラリーマンのかた、多いのでは^^;
ちなみに、所得税の還付申請しないと、還付金相当額を「国に寄付」したことになっちゃうという...
さらに複雑でわかりにくくするのは、ワンストップ特例とマイナンバーで...こちらの話は機会を改めます(^^)
■免責
2016/03/06時点の情報です。
ここに書かれている内容は私見ですので、正式な情報は関係機関や法令をご参照ください。
■用語
ふるさと納税→ふるさと寄附金制度
お礼の品→返礼品