2015/06/27

ドコモ端末+MVNO SIMでテザリングはできないワケ - 備忘録

■ドコモ端末+MVNO SIMでテザリングはできない
SIMロックを解除していないドコモ端末でも、ドコモ回線のMVNO SIMを刺せば、通話とデータ通信は問題なく使えます。但、テザリングはできません。

■ドコモ端末でのテザリングの挙動 - ドコモ純正SIMまたはドコモ回線のMVNO SIM
ドコモ端末でテザリングを有効にすると、設定済みAPN名が、
"dcmtrg.ne.jp"
に強制的に切り替わり(書き換えられ)ます。
SIMがドコモ純正の場合には、このAPN名もドコモの正規APNなので、問題なく認証され、通信できます。ちなみに、テザリング無効のときのAPN名は"spmode.ne.jp"です。
しかし、MVNO SIMでは、APN"dcmtrg.ne.jp"とは接続を確立できません。
例えば、
OCNモバイルONEでは"lte-d.ocn.ne.jp"
IIJmioでは"iijmio.jp"
がAPN名ですから、これがドコモのAPNに書き換わってしまうと、テザリングだけでなく、端末の通信が切断されてしまいます。

ドコモはドコモ端末でのテザリングついて、
「ドコモ端末をドコモ純正SIMで使っている環境での動作のみ保証します。それ以外のSIMを刺した状態でテザリングした場合の動作は保証しません。」
旨、告知しています。
読み方によっては、「中にはテザリングできる端末もあるよ。でもドコモは保証しないけど。」とも解釈できます。
おそらく、端末によっては、刺さっているSIMがドコモ純正のときだけ、ドコモ仕様のテザリング設定に切り替える、というロジックになっていると推察します。

■au回線のMVNOの怪
ドコモ回線のMVNO SIMと違い、au回線のMVNO SIMをau端末にセットしても、必ず使えるとは限らないので、注意が必要です。
現時点で、au端末での格安SIM利用は、おススメしません。
人柱になる確率が高過ぎるからです。
例えば、VoLTE対応端末に、au回線のMVNO SIMを刺しても、データ通信はおろか、通話すらできません。2014年12月以後auが発売したスマホはほとんどがVoLTE端末です。
加えて、au回線のMVNO SIMでは3G回線が使えません。2013年頃だと、LTE非対応3G専用スマホも主力でした。
また、iPhoneに関しては、もっと複雑です。
基本は、IOS8以後では、データ通信は使用不可で、音声通話しかできない、ということ。
iPhone6以後ではIOS8がインストールされているので、au版でもSIMフリー版でも、音声通話しかできないということになります。
一方、iPhone5は、IOSが7.xのままなら、データ通信も音声通話も可能です。しかし、IOS8にバージョンアップした瞬間、データ通信ができなくなります。また、一度IOS8へバージョンアップしたら、IOS7.xには戻せません。
au回線のMVNO SIMの各種制約は、auの戦略、端末仕様、OSバージョン、など影響を受ける要因が多過ぎ、ドコモ端末+ドコモ回線のMVNO SIMと比較して、ハードルがかなり高い、というのが正直なところです。

au端末の場合、
「androidで、LTE対応かつVoLTE非対応」
なら、au回線のMVNO SIMを使える可能性が高いということですね。

うーん、やっぱり複雑...^^;

■auの戦略
auは3G回線を一刻も早く停止したい、と考えています。
世界的シェアで見ると、auが採用した3G規格であるCDMA2000(1x)が少数派で、端末や通信設備の調達コストが高止まりしていることから、業界標準規格であるLTE/4Gへ移行して、3Gサービスからの撤退したいのです。
そこで、auは主力の電波(周波数800MHz帯)のLTE化を推進し、他社に先駆けてLTEカバー率99%を達成しました。
2014年12月からは、音声もLTE化(VoLTE)を開始しています。VoLTE対応端末での音声通話はLTEのみ対応で、3Gでの音声通話機能はありません。3Gを残したくない、ということですね。
au回線のMVNO SIMで制約が多いのは、auの3G切捨て戦略、LTE全面移行の過渡期、の影響を受けていると考えるとわかりやすいです。

ちなみに、ドコモのVoLTE対応端末は、LTEサービスエリア以外では3Gで音声通話できるよう切り替わる仕組みです。この点でも、格安SIMによる制約が少なく、ハードルが低いといえます。


■au版iPhone5がLTEにつながりにくい現象
au版iPhone5でほとんど3Gでしかつながらない現象が発生したのは、iPhone5がau主力周波数帯800MHz帯非対応で、LTE化率が10数%だった2.1GHz帯にしか対応していなかったためです。iPhone5S以後では、au800MHz帯に対応しているので、全国的にLTEでつながります。
ちなみに、auのLTE周波数帯は他に、1.5GHz帯、700MHz帯(2015年1月から順次)があります。